「アドベンチャーライフ」

3年前Shapoosとかけもちで「velandercommune」というバンドをやっていたのだが
当時出会ったメンバーに、「お店するのが目標やねん」と言う話をしたところ
じゃあこの本貸してあげるわと言って借りたのが
「自由であり続けるために、僕らは夢でメシを喰う」というサンクチュアリ出版から出ている本であった。
眼鏡をかけた男の外人が、皿からはみ出た大盛りスパゲティーを
口からこぼしながら食べているというお下品なイラストカバーの本であった。

この本。カバーの絵から連想するとおり
「経営とは!」という有名なベンチャー企業の社長とかが書いたうんちく本ではない。
活字も大きくて読みやすく、挿絵や写真もどこか変わっていて、
自分と同い年ぐらいの男の子が作った!という感じの本。
“無一文&経験なし&コネなしからスタートして「自分の店」という夢を実現するために
必要なエッセンスがすべて書いてある。この本と情熱だけで、「自分の店」は必ずもてる”と書かれていた。

借りたその日に一気に読んでしまった。
まさしく無一文&経験なし&コネなしから初めて、2年で4店舗まで広げれるまで大成功した人物が書かれただけあって
得るものは大きかった。のちに著者は、また新しいことがしたくなって、お店を辞め
また無一文&経験なし&コネなしからはじめて出版社を立ち上げている(その出版社から本はでている)。
「私にもできる!」
この本を読んで、そう思った。
「お店を開く」=「現実離れしたこと。遠い夢のような存在」であったが
一気に身近な存在になった。
お金の借り方から(卒業アルバムを見て片っ端から電話するとか!)
不動産屋へのアタックの仕方、
お店ノートの作り方、必要資金の計算の仕方など、お店をするにあたって必要なことはすべて書かれてあったのだ。

この本との出会いは私にとってはとても大きかった。
くじけそうになった時も、この本をまた開いて読めば、勇気が湧いてがんばらなくちゃ!という気持ちになる。
そして今もこの本を開けながら、お店計画案を練っているのであった(本、借りたままですね。ごめんなさい。→これを借りパクといいます)。

この著者、高橋歩が書いた本はおもしろい。
こないだ、彼の書いた「アドベンチャーライフ」という本を友達から借りて読んだのだが(これはちゃんと返します)
彼の20代10年間のライフストーリーが書かれている。

「自由であり続けるために、僕らは夢でメシを喰う」にはなかった裏話もいろいろ書かれていた。
資金集めのためにやった、2泊3日の人間モルモットのバイト。
薬ができるまえに行う薬物実験。初めはラットで実験、その次はサル、で最終実験が人間。
その薬の実験を行うバイトである。
茨城県の山奥にあるあやしい病院に連れて行かされて
血圧を下げる薬の実験台になり、注射を打たれて気づけば16時間眠ったまま。
目が覚めると腕にものすごい数の注射の後が!まさしくシャブ中状態だったらしい。
で、実験が終わってからタバコを吸ったら血圧が下がりすぎてバッタリ倒れたとか。
で、2泊3日で8万円。
もっと高額なバイトは通称「ポキポキ」というバイトで
その名の通り、骨を折られるバイトで、腕だと20万円、足のモモだとなんと60万円!
スポーツ選手の骨が折れるメカニズムを研究するために、骨が折れるプロセスをレントゲンで撮影しながら
ゆっくりと万力みたいなマシーンで骨を折るというバイトらしい。
さすがに著者はそのバイトはしなかったらしいが、このバイトする人いるんだろうか・・。

そんな裏話もありつつ
資金集め以外でも一人前のバーテンダーになるために、
仮眠する3時間以外はすべてバーテンダーになるための特訓を行ったという話や
店が開店してから、売り上げが落ち込んでどうしようもなくなった時
店を流行らすために流行を取り入れたり、売れる店の真似をしたりしたら余計売り上げが減ってしまい
自分たちがいい!と思うことしかしない完全自己満足のお店にしていったら
徐々に売り上げがあがっていって、2年後には4店舗に増えたという話など
参考にすべき要素がたんまと書かれていた。
自分自身が納得のいくスペシャリストになるまで、ひたすら努力すること
そして、自分を信じて他にはとらわれず、自分が本当にいいと思うものだけを提供すること
この二つは重要なんだと教えられた。
他にはない、ここだけにしかない自分のお店をつくること。
それが重要なんだなと。

著者は、先ほどにも述べたが、バーが起動にのり、自分の目標が到達されてしまったら
今度は他のことがしたくなる性格らしく
また辞めて無一文になって、資金集めからはじめて、出版社を作る。
そしてそれもまた起動にのったら、出版社を離れ
お金がつきるまで今度は結婚した奥さんと世界一周の旅へとでて、
お金がつきて帰国し、また無一文から始めて現在は沖縄で島プロジェクトをはじめているらしい。

その世界一周の旅で出会ったいろんな人の言葉が64も掲載されているのだが
それにも感銘を受ける。
「ここは食費も、宿代も安い。週に2,3度、働きたいときに働けばいい。
うるさいことを言うヤツもいない。これこそ最高の暮らしだ」
と言うスラム街に住む日雇い労働者。
「私が掃除をすることでみんなが気持ちよくなる。
他人はなんて言うか分からないけど私は誇りを持っているわ。この仕事ができて幸せよ」
というロンドンの地下鉄の暗いトイレで明るく元気に働くブロンド美人。
「公立高校、国立大学、公務員と、男政治にも華やかとは言えない人生だけど
ボクは安定した毎日っていうのに魅力を感じるタイプなんだ。
だから今の暮らしにはとっても満足しているよ」
という郵便局員。

みんないろいろ。そして何でもありなんだ。
自分が楽しく毎日を過ごせたら、誰に何を言われても、自分の好きなように生きたらいいんだと。
そう思うと、なんだかいろんなことがふっきれそうな気がした。
自分の好きなことをしながら、楽しく生活ができたら、それでいいんだと。
生活の違いは、価値観の違いなんだと。

私も自分の好きなことをしながら、楽しい毎日を送りたい。
私にとって、自分の好きなこととは
自分の好きな物に囲まれながら毎日を過ごして、
そして人に自分の好きな物、空間を提供して、自分が感じるように、人にも幸せを与えたい。
幸せというのは、おおげさなものではなく、
あったかい気持ちになったり、ほっこしりした気持ちになったり、ハッピーな気持ちになったり
共感したり、癒されたり、嬉しくなったりという、ちょっとした幸せである。
お店をしたいという根元はここにある。
そんな仕事(好きなこと)をして生活できることこそ、私にとって幸せなことはないなーと思う。

そんなことをふと考えさせられた本が高橋歩の本であった。
アドベンチャー・ライフを読んだときは、興奮して眠れなかった。

みなさんは楽しい毎日を過ごしていますか?
もしもNOという人がいれば、ぜひこの本を買ってみてください。
新しい門がたたけるかもです。
そして、自分自身、ハッピーな毎日が送れるようにがんばろう。