★交渉★

「ここでやりたい!」
もうその思いは止まらなくなっていた。
不動産屋さんに電話し、「あの物件、中を見させてもらいたんですが・・」と言うと
「じゃあ、まず借す意志があるかどうか聞いてみますね。1週間以内にご連絡します」とのことだった。
不動産屋さんから電話がかかってきた。
返事はNOであった。
「前に話した時は、大家さんがやっている洋裁教室を辞めるかもしれないとのことだったんで、いけるかもと思ったんだけど
今聞いたら、大家さんの息子さんのお嫁さんがちょうど塾を始めてようとしているところらしく、
もしかすると春になって生徒が減ったら辞めるかもしれないけど
今のところは辞める意志がないみたいなんです。
だから、春になるまで待ってみてくれへんやろか。他にいい物件がでてくるかもしれないし。」
ということだった。
「はい・・・わかりました。」
うまくいかないもんである。すっかりがっかりしてしまった。

でももしかしたら、運が良ければ春になったら辞めて空くかもしれない!
ポジティブに考えてみた。
そしたら、やっぱり今の内から中も見せてもらっておかないと!
そして数日後、もう一度不動産屋さんに電話をした。
「空くかどうかわかならいけど、あそこの物件が気に入ったんで、
中だけでも見せてもらえないでしょうか?
ダメもとでいいんで・・・」と中を見せてもらうように頼んだところ
「空く可能性がなくてもいいの?じゃあ教室がない日で都合のよい日を大家さんにきいてみます」
と言って、交渉してもらい、11月2日土曜日の朝9時半に訪れることになった。
気合い入って30分前に到着して待っていると先に大家さんが現れた。
「中へどうぞー」
不動産屋のおばあさんと同い年ぐらいのとても品がある方で、とても親切な方だった。
それから不動産屋のおばあさん登場。
二人はどうやら仲良しみたいで、いろいろ世間話をしつつアットホームなムードで話をすすめてくれた。

こんなお店をしようというプランノートを見せながら
ここが気に入ったんで、ここでやりたいんですアピールを大いにしたものの
大家さんも「私じゃなく、息子のお嫁さんがやろうとしているからねえ。
こればかりは縁があってのことやから・・・」と話された。
「塾をやろうとしているんやけど、今はまだはじめたばかりで生徒も2・3人で、
春になって生徒が減ったら辞めるかもしれないんだけど、こっちからは辞めるようには言えなくて・・」
そりゃそうである。息子さんのお嫁さんだから、余計気をつかうだろう。
中は、キッチンもあって、ちょっとした収納スペースもあって、冷暖房完備。
窓がたくさんあって、道路の角に面しているので、日当たりもばつぐん。
中に入ってさらに気に入ったのだが、大家さんの話をきいて
「ああ、やっぱり無理だよなあ・・」と思いながら
「じゃあ空いたときにはご連絡お願いします!」と大家さんにお願いして物件を後にした。
もう気長に待とう!そう心にきめた。

そして1週間後、不動産屋さんから電話がかかってきた。
大家さんから、コンタクトがあったらしい。
・・というのも、私が本気で借りたいと考えているのなら、
貸す方向にもっていってもいいということなのだ。
そして、もう一度1週間ぐらいお返事待ちますから、本当に借りるのでいいのか、もう一度考えてみてくださいと言われた。

これはここで店をやるかやらないかの一大決心である。
本当にここでいいのか?
そして本当に今やるのか?
いろいろ考えたが、この物件を逃したくない!
念願の中崎町で、ここでやりたい!!
やはり思いは変わらなかった。
そして「あの物件やっぱりお借りしたいです!」と連絡したのが11月11日。
初めて不動産屋さんに訪れたのが10月4日。
1ヶ月ちょっとで決まるとは思いもしなかった。
そして来月、もう一度大家さんにあって、どこをどう改装したいのかを話し合い、お互いが承諾したら
12月中に契約して、5月から借りるという段取りですすめましょうということになった。
まだあくまで予定なので、確定ではないが、うまくすすめばよいなあと思う。

心臓がドキドキしてきた。
どこをどう改装して、どんな店にするか。来月までに具体的に考えをまとめておかないと!

・・・つづく・・・