第3章 蚤の市


パリには大きな蚤の市が3カ所ある。
いずれも郊外にあるのだが
ヴァンブ、モントルイユ、クリニャンクールの3カ所。
場所によって、開催している曜日や時間が決まっているので
効率よく回らなければならない。
しかしいずれも土〜月曜日の間しか開催されていない。

今回の買い付けのメインは蚤の市である。
ここでいいものに出会えるかどうかが、運命の分かれ道(大袈裟やけど)。
2年前にフランスに買い付けの下見を兼ねて旅行に行ったとき、
蚤の市を回って、確信したのだった。
「これだ!やっぱり蚤の市でかわいいものが手に入るんだ!!」
雑貨屋を開くなら、蚤の市をメインで仕入れよう。
そう思い続けて、2年。

実は今回の買い付けはとっても緊張していた。
明らかに前回と違って「旅行」ではなく「仕事」だということもあるのだが
「いいものに出会えるだろうか・・」という緊張とプレシャーがのしかかっていたのだ。
蚤の市を2回行けるように、土・日が2回くるようにこの旅もくんであるのだが
それでもやはり、ドキドキしていた。

まず初日の土曜日の午前中にヴァンブの蚤の市。午後にクリニャンクールの予定ですすむ。
6時半起きして、まゆみんといっしょに早朝からヴァンブへ。
行ってすぐ目にしたのが、子供用の折りたたみ椅子!
「おお!」一目惚れしてすぐ購入した。
それからは、どんどん掘り出し物に出会うことができ、
午前中までで終えるはすが、必至でくまなく探しまくったため、
昼過ぎまでかかってしまった。
しかもあいにく途中で雨が降ってきて、店じまいするお店も。
とりあえず、買えるだけ買った。
雨が降ってきて、吐く息も白くなってきた。
寒い、寒い。
凍えながら、必至で二人で探しまくった。

まゆみんと私の雑貨の好みはたいてい、似ている。
どちらかがかわいい!と思う物はたいてい、二人ともかわいいと思う。
なので、一人で探すより、二人で探す方が心強いし、
私では見つけられなかったものも、まゆみんが見つけてくれたりして、
とても力強いパートナーである。

とりあえず、収穫があったので、ホッとする。
たくさんの量の雑貨を見過ぎて、フラフラしそうだ。
いわば、蚤の市はガラクタ市でもあるので、
汚れているのは当然。
手が真っ黒になる。



買い付けを終えた図(撮影:まゆみん)。
リュックを背負って、前屈みになって、
自分でも「まるでおばあさんが、乳母車をひいているようだなあ」と、思いながら歩いていた。
こんな格好の人、はっきりいってみたことがない。

一カ所の蚤の市で、このぐらいの荷物の量になるので、次の蚤の市に移動できないため、
ホテルに帰っては荷物を置きに行き、また次の蚤の市へ繰り出す。
これを3日間繰り返す。

前回のフランス旅行で、蚤の市でちょうど、買い付けに来られていた、シャムアのオーナーさんと
3回ぐらいバッタリであったのだが、そのときの格好が、大きなリュックを背負って、両手にカバンをぶらさげて、すごい荷物であった。
そうかあ。買い付けってやっぱり大変な荷物になるんだなあ・・。
見習って、今回の買い付けのために、大きなリュックと、カバンを3つと、カートを購入して備えたのだが、
ちょっと安めのカートを買ってしまったので、
カートが重量に耐えきれず、ゴキゴキいっている。
いつか破壊しそうだ。
次回はもっと40キロぐらい耐えれるカートを買わなければ。

でも、不思議なもんで、この死ぬほど重いリュックも、
蚤の市で背負って歩いているときは、必至で探しているため、重く感じないのだ。
で、見終わって、帰ろう!となると、一気に重くなって、
「リュックに殺される〜!!」となるのだ。
火事場の馬鹿力じゃないけど、不思議なもんである。



リュックとわたし(撮影:まゆみん)

まるで子供がいるようである。
ベビーカーを引き連れているお母さんたちのしんどさがわかりました。
・・・というわけで、この3日間はカメラを持ち歩かなかったので、
私の写真はありません。ごめんなさい。

とりあえず、蚤の市では、大きな収穫があって、一安心。
店はたいてい7時には全部閉まってしまうので、閉店したらすぐホテルに帰り、
買った物をリストアップして、梱包しなおす(たいてい蚤の市ではちゃんと梱包してくれない)という作業を繰り返す。
これが、また大変だった。しかし、これも仕事、仕事。
蚤の市の開催期間が終わった次は、パリ市内のショップ巡りへと繰り出すのであった。



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